山椒の実で粉山椒をつくる



 秋だ。山椒の実が赤く色づいた。もっと放置すると「割山椒」といって、山椒の実が熟して皮が2つに割れる。実は固くて食べられないが、 皮に芳香があるのでこれをすりつぶして粉にしたのが「粉山椒」である。
 皮を乾燥させ、ミルサーにかけて粉山椒を作る。ピリリとした刺激が食欲をそそる。食欲増進効果や抗菌作用もある。癖になって何にでも振りかけたくなる。
 昔、子供の頃はミルサーが無く、「薬研(やげん)」を使って粉にしていた。「薬研(やげん)」というのは、昔は薬と言えば漢方薬で、乾燥した薬種(薬草・薬草の根・薬効ある木の皮など)を粉にするために用いた器具である。細長い舟形をして、内側が V 字形の器の中に薬種を入れ、上から軸のついた車輪のような鉄の円盤のものをきしらせて薬種を押し砕く鋳物の鉄製の道具で、重くて持ち運びは注意が要る。
 田舎の古い家や、大病を患った家には残っているかもしれない。 今では名前や実物を知っている人は多分高齢者だけだろうね。
 「薬研(やげん)」には隠語で別の意味もある。